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登山やカメラなどなど

【作例あり】SIGMA sd Quattro H で撮った登山での写真と共に半年間使ってみての感想を勝手に書く


2023年にSIGMA sd Quattro H を登山に持ちだす。







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SIGMA sd Quattro Hと登山

カメラネタです。
当ブログでもちょいちょい登場している「SIGMA sd Quattro H」。
搭載するFOVEONセンサは高い色再現性能や質感再現性を有し、
更にその場の空気感まで写し撮るなどとと言われています。


これ本当であれば登山でかなり力を発揮できるのでは?
…と思うわけなのですがなぜか登山で使われてる人がいない。
この理由を探るべく我々探検隊は生産終了し絶滅寸前なSAマウントの世界に足を踏み入れたのであった…!


そんなわけで、以前より興味のあったロマンあふれるカメラを購入したわけなのですが、
ようやく平地での順応がある程度終わったので登山に携行してみました。
今回はそんな登山時に撮影した写真と共に、
半年間sd Quattro Hを使ってみて感じたことを書いてみます。
あくまで私が思ったり感じたことなので必ずしも正しいとは限りません。
1ユーザーの体験談くらいに見ていただければ幸いです。


なお今回はsd Quattro Hの写真を大きめにみられるように、
撮影した写真を久々にFrickrに写真をアップしてみました。
拡大やEXIF情報も確認いただけますので、
気になる写真などあればリンク先に飛んでいただき見ていただければと思います。
何卒、お手柔らかにお願いします。




同日の動画もあるよ

また登山行程自体については今回は割愛します。
同日の様子はYoutubeに動画をアップしてますので、
よろしければそちらをご覧ください、くそ長いです。

youtu.be


写真だけ版はこちら。
4Kでご覧いただけるかなと思います。


youtu.be



www.youtube.com





sd Quattro Hと涸沢に行った写真を載せつつカメラのクセを記す

沢渡からバスで上高地入り。
始発遅くまた各停留所で停まったのでいつもよりちょい遅めの到着となりました。
…が、そんなの関係ねぇですよ。
早速河童橋で三脚立ててQuattro Hで写真を撮ります。


_SDI0607

sd Quattro Hで撮る山の風景は微妙な写真から幕を開けました。まぁそんなもんよね。
ここからは半年間sd Quattro Hを使ってみて感じたことを書いていきます。




高感度が苦手

_SDI0614

FOVEONセンサは高感度が苦手です。
他のカメラ同様にISO上げすぎるとノイズとディテールの潰れが現れるわけなんですが、
このカメラの場合ISO200以上でそれが現れます。
何ならISO200もあまり使いたくはないという感じです。


ただし登山だとそんなことも言ってられないわけです。
日が昇る前から活動したり、
目に見える風景を記録することが多い登山での撮影、
暗い場所や絞っての撮影などなどSSが長くなる撮影が自然と多くなります。


じゃあ毎度三脚立てる?となると今度はその登山の行程に影響が出てきます。
撮影に夢中になりすぎて下山が遅れたり小屋への到着が遅れたり…
下手したら怪我や事故にもつながりかねません。
撮影と登山のバランスをとるためにはやはり多少の犠牲は必要になります。
なるべく時間食わずに最善の方法、
となるとやはり多少の許容が必要になるのかなと考えています。


そんなわけで私は行動中はISO100-200までのオート、
ここぞな時には三脚立ててISO100固定にて撮影することにしました。
まぁほかにも色々と不便なところはあるので欲を言えば毎度三脚立てたほうがいいんですが…。


ちなみに…
昨今後工程でのノイズ処理を楽に行うことが出来るようになりました。
私自身も星撮影時などには活用しておるわけなのですが、
じゃあそれを使えばいいのでは?と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
無論…使えたらそりゃ使いたいんですが現状ではそれが出来ません。
まぁここまで色々と手を出してしまったらなるべく後処理も少なくしたいというのもあります。
ともあれ話長くなるのでここでは割愛します。





_SDI0661


幸いにしてメインレンズの「SIGMA 24-105㎜ F4 DG HSM | Art」には手振れ補正機能が搭載されています。
ISO感度にも制約ありまたボディ側での手振れ補正機能も搭載されていないだけに助かります。




光によっては緑被りが起こる

_SDI0610

事件は暗い場所だけで起こるわけではありません、
明るいところでも起きてます。
具体的には逆光に近い状態だと時折緑被りに映ることがあります。
これは個体ではなくもうセンサ固有の特徴の様子。
もうFOVEONセンサ界だと日本で車は右側通行くらい常識的なことらしい。


ただ、いざ自分で使ってみて気がついたのですが、
どうも逆光だから毎度出るってわけではないような気がしています。
この半年で何度かわざと逆光で撮影を行ってみたのですが、
朝日と夕陽を入れた撮影の際にはこの緑被り現象が発生しないこともありました。
逆に我が家のLED照明下では逆光でなくてもそれが発生。
あまり光への知識はないのですが、
もしかしたら光が持つ波長が原因なのでは?
…などと勝手に考えています。
(根拠なし、完全な妄想です)





白飛びしやすい

_SDI0642

そしてもう一つが「白飛びのしやすさ」です。
普通に撮ると割と高頻度で露出高めになります。
これは何となくなんですがFOVEON自体が光に敏感なのと、
測光性能がそこまで優秀じゃないのが原因なのかなと考えています。


何の根拠もないんですが、
FOVEONは他のセンサと比べ光に敏感だと勝手に思ってます。
順光状態で葉っぱに光が当たってる様を撮影するときも、
葉が白くなりすぎちゃってなんだかなーなんてことがありました。
これの対策に私はCPLをほぼ常用しています。





_SDI0708

さらに測光については…これはもう6年前のカメラだし、
まぁしょうがないのかもしれないなぁって勝手に思っています。
ただ6年前って既にN社からD85〇が発売されてたんですが、
その辺はまぁ…ね。


使い始めて最初の頃はかなり難儀しました。
なんか全体的に白っぽい、
曇りの日以外はあまりうまく撮れない、
よい感じの雰囲気の写真は時々しか撮れない。
これを登山に携行するのはちょっとなぁ…なんて。


そこで測光モードを変更し弄りながら撮影したところ、
満足できる写真がそこそこ撮れるようになりました。
暗所は結構粘ってくれるので、
ちょい暗めに撮って持ち上げてあげるくらいがちょうどよいかもしれません。


よく聞く「曇天下の方がうまく撮れる」「時々しかいい感じに撮れない」ってのは、
もしかしたらこの測光部分に答えがあるのかもと勝手に思ってます。
測る場所もこれまたシビアで明るすぎず暗すぎずな塩梅の場所がよい感じ。
なんとも伝えづらいのですがとにかく撮ってればさらに分かり合えそうです。




AFはのんびり、MF最後は勘

_SDI0779

AFはのんびりです。
動体撮る人はえっ?てなるくらいにのんびりですが、
幸いにして私は動いてるものはほとんど撮らないのでそこまで困ってません。


むしろ万が一AFに頼ってミスってたら嫌なのでほぼMFで撮っています。
これなら失敗しても自分の責任、全てをカメラに背負わせるのは酷というものです。
sd Quattro Hはのんびりした性格なので優しく接してあげるのが仲良くする秘訣に思います。
…色々手間がかかりすぎて妙な愛着沸いてきてるのかもしれんけど。





_SDI0787

ただ…時折登山されてる方を入れて写真撮ることもあるわけで困る場面もあるといえばあります。
登山時の人の動きは大体一方向なことが多いので予測MFで何とか乗り切れたりしますが、
今回の山行でも半分くらいは失敗しました。





_SDI0845

MF操作となると重要なのがEVFと背面液晶。
幸いにしてミラーレス機なので他メーカの機種のようにEVFでもピント追い込みが可能
…なんですが、問題なのはその見え方。


236万画素と一見するとスペック悪くはないのですが何故かガビガビに見えます。
しかもリフレッシュレートも高くない様でちょいガクガクしてます。
ガビガビのガクガク、となるとピント合わせもなかなかに大変です。





_SDI0864

不安になられた方に朗報です。
ピント合焦位置に色を付けるフォーカスピーキングが搭載されています。
また画面内一部を拡大する機能も搭載されており両者ともにEVFでの確認が可能。
なので、言われているほどMF操作も大変ではないかなと思います。


…が、最後の最後の微調整ともなるとこのEVFでの判断はなかなかに難しいです。
ピーキングあれど拡大してもやはり結局はガビガビのガクガク。
最終的には自分の勘と感覚を信じてシャッターを押すことになります。
場合によっては微妙にピント位置を変えつつ複数枚撮っといた方が安心っちゃ安心かも。




BLUB撮影でも限界値が設定されてる

_SDI0909

すごく地味な部分ですがシャッタースピードについて。
Mモードでの撮影の際に選択できるシャッタースピードは最長30秒となってます。
以降はBLUBモードにて任意のタイミングでシャッター操作を行うことになるのですが、
このBLUB撮影時、実は60秒までしかシャッターを開くことが出来ません。
これ以上になるとたとえレリーズで操作していても強制的に撮影が終わります。
バッファの問題かノイズを抑える関係なのか、理由は不明です。


個人的にはこの部分だけはもうちょい設定できるようにしてほしいです。
登山時に雲を流したいなんて時は雲の流れに合わせてSSを設定することがほとんどです。
60秒と決められてしまうと逆に雲の流れる速度を操らなければならないわけで…、
無論人間がそんなこと出来るわけもありません。


ただしQuattro Hには「SFDモード」というものが搭載されています。
これは露出差を変えた7枚の写真を撮影し合成するというもの。
露出差を変えて撮るとSSも変わりそれでいて連続に複数枚を撮影するので、
合成されたものは動いてるものの動きもその撮影時間分記録されることになります。
これすなわち60秒以上の長秒撮影も行けるって…こと!?


…と思って何度か試してみたんですが、
雲などの場合は切れ目部分での合成がうまく行きませんでした。
構図右から左までを覆うようなものでないとちょい厳しそうです。
逆に滝や水の流れ等、始点終点がはっきりしないものならなんとか使えそうな気がします。
ただしめちゃんこバッテリー喰うので必殺技的に使ったほうがよさそう。




重たい

どうにもならないのが重量です。
これはねぇ、もうどうにもならないよね。


このカメラ、ミラーレス機でありながらもレンズはフルサイズ一眼レフ用を使用します。
Lマウント?違うよ、SAマウントだよ。
LマウントならSL2が欲しいよ。


…ただ厳密にいえばAPS-C用でもクロップ入るけど使うことは可能なんですが、
「搭載しているセンササイズを上回る大きさのレンズを使ったほうが、
レンズの美味しい部分を使って撮影が出来るんですよ!」
…って某社の皆様から熱く教りました。
ま、まぁ確かにその通りだよな。


そもそもAPS-C用使うならわざわざQuattro Hを買わんでもいいわけで、
無印のQuattroでいいんですよ。
またフルサイズ用を購入すればマウントコンバーターを使ってクロップなしでαでも使用が可能。
なによりこのカメラ使うならとことんこだわらんと意味がないといえばないわけで…
とまぁそんなわけでフルサイズ一眼レフ用を使ってます。
さすがに単焦点複数本で登山は厳しいので…ズームしちゃってます。





どちらもArtレンズ。
Artのコンセプト的にもそうですが、
一眼レフ時代のレンズなのでデカいです。
特に広角用のSIGMA 12-24㎜ F4 DG DN | Artは1150gあります。
ちょっとしたスイカくらいの重さ。


撮影に効果を与えるフィルターもデカいです。
35㎜換算12㎜をカバーするフィルターともなれば角150㎜幅が必要となります。
また三脚もそれ相応のものが必要。
可能であればLeofotoだとLS-324CないしLS-284Cあたりが欲しいです。
LS-254Cだとちょい不安かも。
さらにデカいカメラを入れる携行ケースももちろんデカくなります。
カメラがデカくなると周辺用品もそれ相応のものが必要となります。


結局αで多少軽量化出来たのに再び元に戻ってしまいました、
ただし戻らないのは私自身。
数年前でも時折ひーひー言ってた記憶がありますが、
果たして今の私がこの装備で何処まで行けるのか…
実のところこの部分が一番不安だったりします。
まぁあまり頭固くならず山行に合わせてカメラを変えればいいだけの話なんですけどね。







買ってよかった?

_SDI1213

…で、結局のところ購入してよかったかというとよかったです。
撮れる写真はもちろん、
不便な操作性がもたらす撮影体験は、
忘れていた「撮る楽しさ」を思い出させてくれました。


FOVEONセンサの絵について。
色は階調表現豊か、自然な色合いながらも独特な雰囲気です。
撮り方によってはおわーと驚くような深い色が出たりします。
ベイヤーって書くとなんかアレですが、
最近のカメラの絵と比べると違いははっきり分かるかなと。


とにかく色はきれいに出してもらえるので、
色関連のレタッチについてはほとんど不要になるかと思います。
まぁうまく撮れたらの話ですが…。


細かなディテールについては今見ても必要十分です。
これもFOVEONの力なのか細かな部分も雑みなしなクリアに見えます。


撮った写真を見るとどの写真もどこか懐かしいようなそんな感じがします。
何故かなと思い考えてみて気が付いたのですが、
この雰囲気小学生の時に図書室で見た「図鑑」に似てるかも。
ちょっと暗いようなそれでいて美しい、あんな雰囲気。
確かにフィルムをデジタルにって表現はその通りかもしれません。





_SDI1072

上に書いた通り現代のカメラに比べると不便な部分は多いですが、
ただそれを如何にうまく扱うかとか考えたり試行錯誤するのが逆にとても楽しいです。
最近の便利になったカメラでの撮影で忘れていた楽しさを改めて思い出させてくれたカメラに思います。
この部分だけでも私としては買ってよかったです。


如何に使いこなすかを日夜模索し時間があれば試行錯誤するような、
そんな一つのことに対して熱中できる方はハマるカメラかなと思います。
やはり通な方向けってことで間違いはないですね。





_SDI1120

ただじゃあ今後このカメラ一つで全部撮るぜ!
…とまでは少々言い難いです。
技量で賄えと言えどやはり限界もありますし、
状況によっては撮影不可な場合も出てきます。





_SDI1180

ISO感度の関係で星の撮影は厳しいし、
AFの関係で動きものもあまり撮るのは得意ではない、
こういう場合は素直にαを持ち出すほうが最適な結果は得られます。
また現代機であれば新しいレンズもどんどん登場しますからね。
やはりカメラ好きとしてはそういったものもどんどん使ってみたい。





_SDI1111

折角選択肢が様々な在るのに一つに絞るのはもったいないですし、
両方使うからこそそれぞれのいいとこわるいところも見えてくるはずです。
「どちらか」じゃなきゃではなく「どちらも」使って、
より楽しみながら自分の撮影体験を向上できればと思ってます。





今後も登山に連れ出していきたいと思います

_SDI1414-2

最後に撮影したかった青々とさわやかな涸沢の写真を。
見ていただくと分かるんですが下の方の葉っぱがとてもきれいに書かれてます。
朝夕のドラマティックな瞬間を狙うもいいのですが、
こういった何気ない風景の方が見てて飽きないなぁって最近は思います。
心晴れるような気持のいい写真がFOVEONなら撮ることが出来そうです。


しかし…噂に聞いていたFOVEONセンサは思ってた以上に曲者(失礼)でした。
無論、うまく使えればよい結果得られるわけなんですが、
扱いに注意しなければならないことが多いんですよね。


気になるのが割とセンサ起因っぽい現象が多かったこと。
これもしかしたら時期機でも変わらないのでは…と思ったりしました。
…となるとそこから入った事情知らぬ新規ユーザーはどう思うんだろう?


FOVEONセンサはどうも良い部分ばかりが世に広まってるような気がします。
良いところもあれば良くないところもあるのは当たり前なわけで…。
きちんと両方を理解しとかないと期待値高い分反動もデカそう。
他のカメラがより手軽に便利になってるわけだしね。


じゃあそのネガな部分をどう伝えんだ?
…って言われたらこれまた難しい話なんですが、
ひとまず私はこの記事を書いて残してみた次第です。


幸いにしてネットの海には過去6年間で使われた先輩方の激しい戦いの記録が残されています。
私もこういった先人たちのブログ記事や動画を大変参考にさせていただきました。
私の記事も将来少しでも参考になれば幸いかなと思います。
まぁ意外と改善されちゃったりする可能性もあるかもなんだけど、
いや出来るなら改善されていて欲しい。


ともあれ現状のFOVEONセンサにはいいとこもあれば悪いところもあるので、
これだけでOK!とは私には言えませんが、楽しいカメラであることには間違いありません。
三層で切り撮ったときに写る日本の山や世界がどんなものかと考えるとワクワクしちゃいます。
改めて写真撮る楽しさを思い出せて本当に良かったです。
今後も体続く限りは登山などに携行できればと思います。