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登山やカメラなどなど

水洗い可能な自由雲台「Acratech GP-S ボール雲台」を発売から12年後に購入しました





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今年の頭に雲台を新調してました

Acratechの雲台を買ったぞ

カメラネタです。
皆さんはどんな雲台を使用していますか?
雲台は三脚同様にいろんなメーカーさんから様々な種類が販売されていますよね。





そんな私はというと以前から欲しかったAcratechの雲台を買いました。
今年に入り、SIGMA sd Quattro Hを手に入れたわけなんですが、
このカメラってミラーレス機なんですが使用するレンズは一眼レフ用なんですよね。
となると重量がそこそこ重たいわけで…
今後の運用考えると雲台も更新しないといかんなと思ったのが購入の理由です。


この雲台について、まだこのブログでは紹介してなかったので紹介していきたいと思います。
ちょっと通なアイテムな気もしますが…。




Acratechについて

購入した雲台について見ていく前に、
なかなかにマイナーな製品なので先に色々とご紹介しなければなりません。



Acratech HP

まずはAcratech(アクラテック)というメーカーについて。

www.acratech.net





Acratechは米国の会社です。
どんな会社なのかHPのAboutページを拝見すると…

Acratech は、写真と画像処理のための高品質で革新的な製品を製造する家族経営のメーカーです。
すべての製品は、最高級の素材と最高品質の技量を使用して、
カリフォルニア州ポモナの施設で誇りを持って製造されています。
Acratech は航空宇宙、自動車、医療など、さまざまな顧客向けに機械加工を行うジョブ ショップでした。
~(一部略)~
ハイキングや旅行の写真撮影に適した強力で軽量なボール雲台が見つからなかったため、
新しいボール雲台を設計することにしました。
Arca-Swissのような大企業と競争することは不可能だと考えて、
このプロトタイプのBall-Headを自分で使用するために作成しました。
彼のプロトタイプのボールヘッドを見て
「そのようなボールヘッドはどこで買えますか?」とよく尋ねる人々に説得され、
ボールヘッドの販売を開始しました。


自分たちが満足できるものがない、ないなら作ろうぜ!の精神から誕生した雲台。
ものづくりの原点みを感じます。
また小規模とは言えど航空宇宙・医療関連の機械加工を行われていたとのこと。
航空宇宙はともかく医療関連はかなりの精度要求されることを自身も経験しておりました。
そんな技量で雲台を本気で作ってるならばこれすごい製品できちゃってるんじゃないの?
…とまぁこんな具合で興味を持ったという感じです。


ちなみにこのAcratechの雲台は米・スミソニアン博物館で有名なスミソニアン研究所にて、
アメリカの歴史的及び国宝級資料の写真撮影の際に使用されているそうです。



Acratech GP-S ボール雲台を紹介するぞ

今更ながらGP-Sボール雲台を買った理由


で、そんなAcratechさんからは複数の雲台が発売されているのですが、
今回購入したのはGP-Sというボール雲台です。
一応Amazonでも売ってました。




超おおざっぱに説明すると…
この「GPシリーズ」というのがAcratechさんのメイン雲台です。
GPはレギュラーサイズでちょっと大きめ、
これにSが付くとちょっと小さくなるよって感じ。
今回購入したのはSがつくので小さい版、なんだけど、
それでも重量は約400gあるのでそこまで小さくはないです。


ちなみにこのGP-Sという製品は既に廃盤となっております。
その後GP-SSというモデルが出てまたこちらも廃番に。
現在は「GXPシリーズ」というのがこの後継品です。
で、今はGXP-Sの後のGXP-SSってモデルが最新みたい。
ちょっとややこしい。





ちなみに今回購入したGP-S雲台、
果たしてどれくらい前に発売されたかといいますと、
ちょうどデジカメWatchに記事がありました。

dc.watch.impress.co.jp



型落ちといえどまぁ5年くらいかな思ってたのですが…
記事の最後の掲載日時が「2011/6/17 13:54」となってます。
え?12年前?
いやはや、まさかそこまで古いとは思いませんでした。


いや、本音言うとそりゃ新しいモデルが欲しかったんですよ。
ただ日本国内では販売がないようでして、
購入するなら米国またはB&Hで個人輸入するしかないようです。
ただ、昨今の円相場を見るになかなか気軽に手を出せる感じではなかったんです。
ちなみに私が購入を検討していた時点の円相場だと諸々込みで約9万円でした。
うーん、無理。


…とはいえAcratechの雲台について考えれば考えるほど、
私の理想の雲台はこれなんじゃないかという答えに行きつきました。
うーんやはり一度は使ってみたい。


そんな中、何気なく日本正規代理店であるTAKEさんを覗いたところ、
在庫処分品と記載されたGP-Sがたまたまちょっと安く売られているのを発見。
12年前のものがまだ新品として売られているってことは人気な…(略


…とはいえモデルとしては少々古いけど基本構造は現行品とは変わらなそう、
これはある意味チャンスなのかもと思いこちらを購入することに。
諸々含めても安かったのでひとまず試すにはちょうどよい買い物だったかなと思ってます。

www.take-online.jp



こんな感じの雲台です

で、到着したのがこちらです。
しかしまぁ…わかっていて購入したとはいえ、
やはりなんとも変わった形してます。
まるで大航海時代の地球儀のような…なんともいえぬ複雑な形状です。
ロマン感じますね。
ただそんなフォルムがまたかっこよかったりするわけなんですが。





形は複雑ですが操作系統はとてもシンプル。
大きい歯車型のダイヤルを緩めればボール緩み他の自由雲台同様に操作できます。
その横にある小さい丸形ダイヤルはテンション量の調節用。
こちらの開閉具合でボール操作時のトルクを変えることができます。
横から出てるのがパン操作ダイヤル、
これを緩めると360度水平方向に回転させることが出来ます。


で、一番のビックリポイントはやはりその固定力です。
これがまぁ恐ろしいくらいがっちり止まります。
しかもダイヤルをがっちり締めてようやく止まる、というわけでなく、
ある程度固定感感じるくらい回しただけでがっちりと止まります。
力による固定というよりも製品精度高くきちんと嚙み合って止めてる感があります。





ダイヤル部分形状に関してはゴム製の歯車形状の変わったものが採用されています。
適度な大きさかつ出の量もそこそこあることから操作はしやすいです。
手袋しててもしっかり回せる、そんな印象です。


この形状のため操作時の正しいホームポジションがよくわかりませんが、
私はこのダイヤル風ノブ部分が正面に来るようにセットアップしています。
操作系もシンプルなので不満はありません。





一見すると形が変わってる自由雲台に見えますが一番の特徴は内部にあります。
実はこの雲台、オイルやグリスを一切使っていないのだそうです。
そのため環境に左右されず常に最適なパフォーマンスを発揮することが出来るそう。
寒いとこでもどんとこい、砂被ってもどんとこい。
いやはや心強い。


しかも汚れたら水洗いして乾かせばOKらしい。
水洗いってなにそれ某○M社のカメラ?って感じですね。
これが本当であればこれまさに登山で使うにはぴったりではありませんか。
でも本当なのかなって思ってしまうわけなんですが…




www.youtube.com

公式のYoutubeチャンネルの動画見るに本当に大丈夫みたい。
ちゃんと最後には水洗いもしてますね。

まぁもちろんこの動画のような過酷な状況で使うことはほとんどないとは思いますが、
この状況でも頑張ってくれるのであれば安心感もあるというものです。








簡易的なジンバル雲台やクランプを逆付けすればパノラマ雲台になる


その他変わったところでは片側に設けられた溝を使用することにより、
ジンバル雲台として使うことが可能となったり、
さらにクランプを外して逆付けすることによりパノラマ雲台として使用できたりします。
シンプルながら多機能です。





ジンバル雲台仕様は片側部分に作られたくぼみを利用することで、
クランプを90度傾けて使用することが可能となります。
この状態で望遠レンズの足やL形プレートの縦方向を接続すれば、
パンチルト操作がしやすいジンバル雲台として使用することができちゃうって感じ。
動作についても実はクランプと球体の間に回転するスペーサー(カラー?)的なものが設けられているため、
比較的スムーズに動かせます。


このジンバル雲台運用は一度雷鳥撮影時に望遠レンズと組み合わせて使用しました。
なるほど確かに便利なのですが…やはり元々が自由雲台ということで、
細かな操作はちょっと難しいかなという印象です。
テンションをうまく調節してもやはり微妙な操作は難しい。
うまいこと使おうと思えば使える気もするんですが、
それならば最初からビデオ雲台使ったほうが…って思っちゃいました。
あくまでも簡易的な使用であればいいかとは思います。





クランプ逆付けによるパノラマ雲台化について。
クランプ部を逆さに取り付けることで自由雲台部を下方向へ、
パン操作部を上方向へ変更することが出来ます。
これにより自由雲台部でレベル調整し水平状態を維持させパン操作が可能となるため、
レベリングベース無にてパノラマ撮影が可能となる…という仕組みです。


一粒で二度おいしい作りではあるのですが、
逆転させると操作ノブ位置も反転し左右入れ替わってしまうので、
既に操作に慣れている場合等だとちょい混乱するかも。
六角ネジで簡単に変更はできますが、
ネジ外して失くしたら終わりなのであまり現場ではやりたくないかなぁと思いました。





満足いく雲台を見つけました

で、そんなAcratechのGP-S雲台を約半年ほど使ってみたんですが、
今のところ買ってよかったです。
今年はほとんどこの雲台を使用しています。


操作系については上にも書いた通りで非常にシンプルです。
私の場合はほとんどテンションを固定にし大型ノブで自由雲台を操作して使用しています。
自由雲台だから微調整は厳しいかなとも思ったのですが、
左手で締め込みつつ右手で微調すると思ってたよりも細かく調整できます。





思ってたよりも嬉しかったのがクランプ部分。
当初は脱着容易なレバークランプが欲しかったんだけどこれも高すぎて手が出ず、
仕方なく付属のノブ式クランプのままで使っておったのですが、
結果これで全く問題ありませんでした。
開閉両方向には限界点が設定されており、
全開放状態から締め込むまでの操作量もノブ半周程度でがっちり止めることが出来るので、
スピード、操作量共にレバークランプ同等レベルでの脱着が可能です。


気になるのが故障や整備が必要となった時。
国内での修理は不可能っぽいので米国に送る必要があります。


ただ、購入の際に気になることがあったので本国のAcratechさんにメールで問い合わせたところ、
時差もあるにも関わらず割とレスポンスよく返信してくださいました。
この雰囲気なら修理等が必要な場合にもきちんと対応いただけるんじゃないかなぁと勝手に思ってます。
まぁよほどのことをしなければ壊れない気もしますが…。




とまぁそんな具合で少々ニッチなAcratechのボール雲台をご紹介しました。
上のようにわたくしは大変に気に入っております。
なかなか通なアイテムに思いますがもしよかったら皆さんも水洗いされてみてください。