(山でのんびりしたい…)
八ヶ岳縦走を終えた満足感からか二週間ほど登山をお休みしていた私でしたが、
時間が経つにつれまた沸々と登山欲が高まってきました。
前回はかなりいそいそとした登山だったため今回はのんびりしたい…。
景色が良くて人も少なそうなテン場はどこかにないかな?と調べているときに見つけたのが「冷池山荘」でした。
今回はそんな冷池山荘にテント泊をして鹿島槍ヶ岳に登った時のお話です。
ちなみに結局全然のんびりはできず、いつものようにあわただしい登山となっています。
Day1
スタートは柏原新道登山口駐車場
おはようございます。
今回は最寄りの登山口である「柏原新道登山口駐車場」からのスタートです。
昨夜は20時ごろ着いたにも関わらず2カ所の駐車場はほぼ満車の状態でした。
私が停めたところは三角形の形をした駐車場。
ここは最大の40台停めることが可能です。
それ以外にも小さな駐車場がいくつかありました。
この辺りに停められない場合は歩いて15分ほどのところにある「扇沢」に停めることになります。
ただし柏原登山口入口近辺にはトイレがないので注意が必要です。
お連れ様がいる場合や早い時間からの車中泊する際などは思い切ってトイレのある扇沢を選ぶほうがいいかもしれませんね。
ちなみに私はこのことを知らなかったため、起きてから種池山荘までおしっこ我慢して登る羽目になってしまったのはここだけの話。
登山口看板の横には各山荘の営業日の案内がありました。
今回はこの中にある「種池山荘」を経由して「冷池山荘」でテントを張ろうという計画です。
柏原登山口駐車場からケルンへ
早々に支度を済ませヘッデンつけていざ出発。
種池山荘までの登山道は「柏原新道」と呼ばれています。
この登山道は種池山荘の運営と管理をされていた柏原正泰さんの苗字から名付けられたもの。
この登山道が作られることとなった当時、
柏原氏が測量の上ルート選定を行い地元である大町市が建設業者へと発注をしたそうなのですが、
3年間経って完成した道は全行程6300mのうち1/3ほどの1500mでした。
これに業を煮やした柏原氏はなんと自らの手で残りの4800mを建った1年間で完成させてしまったのです。
柏原さん凄すぎやろ…
そんなこの柏原新道の特徴は「とにかく歩きやすい」こと。
何処もとても整備されており、最初の登りさえクリアすればあとは比較的緩やかな上り坂が続きます。
夏場のこの時期であれば雪渓も溶けており、爺ヶ岳までのルートに危険個所はほぼ皆無と、
事前に話には聞いていましたが予想以上の快適さでした。
種池山荘までは唐松や燕岳よりも圧倒的に初心者向けなので、
北アルプスデビューの方には是非ともおススメしたいルートです。
登山道入り口から約20分で「ケルン」に到着しました。
岩を積み重ねて出来たケルンですがここでは登山道の目安となっています。
ここから種池山荘までは3時間半と書かれていますが大半の人はそこまでの時間かからないはずです。
ケルンから種池山荘へ
快晴のこの日、振り向けば後ろには「針ノ木岳(2820m)」の姿が。
日本三大雪渓の一つ「針ノ木雪渓」を有するこの山。
一度は登ってみたいものです。
再び話は柏原新道へと戻ります。
この登山道、「名所っぽいところが多い」ことも特徴の一つです。
トロリーバスの出発点である扇沢駅を一望することができる「駅見台」や、
その名の通り平らで平坦な道の「水平道」、
はてはベンチとして使うことが出来る岩がある「岩ベンチ」などなど、
とにかくたくさんの名所?を見ることが出来ます。
次は何がでてくるんだ?と楽しみながら登ることが出来ます。
ゆるふわな看板の中に突然現れる注看板。
ここは夏前には雪渓が残っている場所です。
雪が解けたこの時期は地肌であるガレ場が姿を現しており、
悪天候時などは注意しての通行が必要な場所となっています。
よく見ると下のほうに少しだけ雪が残ってました。
ガレやすいので悪天候時は気をつけて通行してください。
登山口を出発して約2時間半、真っ青な青空と何やら可愛らしい建物が見えてきました。
「種池山荘」に到着です。
遠くを見ると何やら見覚えのあるあの山の姿。
そして左に目を向けると先ほどの「針ノ木岳」が鎮座しています。
この時点ですでに絶景、ここから先の景色にも期待が膨らみます。
そんな種池山荘の名物がこちら。
「TANEIKE 夏のピザ祭り」
ここ種池山荘は営業時期になるとなんとピザ窯を地上がらヘリで担ぎあげて、その窯で焼いたピザを提供してくれるのです。
枚数限定とのことですがこれはぜひ一度食べてみたいですね。
ちなみにパン祭…じゃなかったピザ祭りは秋にも開催されるそうなので夏に間に合わなさそうな方はぜひ秋にお出かけになってみてはいかがでしょうか?
種池山荘から爺が岳南峰・中峰へ
絶景を堪能しつつ休憩を終えたら爺ヶ岳へと足を進めます。
種池山荘からテント設営地である冷池山荘まではこの爺ヶ岳を経由しなければいけません。
さらに爺ヶ岳は南峰・中峰・北峰をまとめて一つの山と呼んでいます。
まとめて一つの山という言い方の通り、実際には三つの山と考えて挑んだほうが精神的に安心です。
登山道はやや岩が目立つようになってきました。
まきみち風な進んでいくと山頂への分岐点が見えてきました。
折角なので南峰ピークへと足を進めます。
数分で「爺ヶ岳南峰」に到着。
ここから見えるは景色はまさに絶景。
立山連峰の山々一望することが出来ます。
その中でも目を引くのが写真中央のギザギザした山、あの有名な「剣岳」です。
私もいよいよ来月挑戦しようかと密かに目論んでいます。
先へと続く道を見渡すと…意外と遠くね?
左側一番高い山が今回目指す鹿島槍ヶ岳山頂です。
南峰を下り次に目指すは中峰です。
三つの山からなる爺ヶ岳、登って降りても峰の数だけ繰り返すことになります。
またあれを登るのか…
とはいえ南峰から中峰までは15分もあれば移動することが出来ました。
爺ヶ岳最高峰はこの中峰、登頂完了です。
爺ヶ岳から冷池山荘へ
三峰からなるこの爺ヶ岳ですが、最後の北峰だけはなぜか今は山頂へ進むことが出来ないようです。
看板もなく何処を進めばよいのかわからなかったためこのまま冷池山荘を目指すことにしました。
途中にある分岐点が「冷乗越」。
西俣出合方面から登るとここに出ることが出来ます。
ここから山荘まではもうすぐ。
下って登ってを繰り返すこと約10分で建物が見えてきました。
冷池山荘到着
本日の幕営地である「冷池山荘」に到着。
既にたくさんの人で賑わっていました。
ちなみに読み方は「つめたいけさんそう・つべたいけさんそう」です。
山小屋の方々も両方使われてたので好きなほうで呼んで大丈夫そう。
早速山小屋にて受付を済ませます。
テント場利用料は一人700円でした。
またおみやげ物や飲み物も豊富に取り揃えられてました。
缶ビールの銘柄はキリン一番搾りで500mlが750円と他よりもちょっと高めの印象。
ちなみに15時までは生ビールも飲むことが出来るそう。
真ん中には「針ノ木小屋のポンプ故障」の緊急案内が出ていました。
素泊まりのみとなると小屋泊で予定を組まれていた方はどうなるのだろうか…?
今後お出かけの予定の方は事前に調べておいたほうがよさそうです。
http://www.harinoki.com/index.html
そんな冷池山荘も他の山小屋と同じく沢の水をポンプアップしています。
お水が必要な場合は、
山小屋入り口から爺ヶ岳方面に少し進んだところにある窓から山小屋の方に声をかけてお願いします。
お水以外にもお湯やお茶も提供してくれるサービスは珍しいですね。
ちなみにお茶には利尿作用がありますので行動時に飲む場合はご注意を。
受付を済ませてテント場へと向かいます。
ここのテント場の難点がこの小屋からテント場までの道のりで、
約10分程度登りのある道を進まなければなりません。
体感的には甲斐駒ヶ岳の七丈小屋からテント場に移動するくらいの距離だけど高低差がそれ以上にあるかなと感じました。
要はやや遠くて急です。
夜間や飲酒時などは十分ご注意ください。
またテント場にトイレはありませんので用を足す際にはこの道を進み山小屋のトイレを借りなければなりません。
テント場に到着しました。
まだ時間が早かったのでガラガラでした、よかった。
そんなテント場の前にハイマツに囲まれた丁度1張くらい張ることが出来そうなスぺースがあります。
この日は土曜日ということでこれからテント場も混みそうな雰囲気。
折角なのでこのスペースをお借りすることにしました。
やや狭そうですが実際にはそこそこのスペースがあり食事なども不自由なく済ますことができました。
またテント場からは剣岳を望むことが出来、眺望は抜群です。
ちなみにテント受付を済ますとこちらの札を渡されます。
この札をテントの見えるところに取り付けるのですが、
夕方18時に山小屋の方がテント場に回ってきてこれを回収していくというシステムでした。
確かにここから早朝鹿島槍ヶ岳方面へと進む場合などは山小屋まで降りなくてよいので便利かなと思う反面、
18時以降ならお金払わずに張ってもわからないのでは…?なんて思ってしまいました。
そんな人はいないと思いますが…。
冷池山荘テント場から鹿島槍ヶ岳山頂へ
稜線上ということで風が吹くと涼しいのですが、やはり夏の日の光はとても暑くテント場でダラダラすることもできません。
休憩できないならサクッと登ったほうがいいやろということで「鹿島槍ヶ岳」山頂を目指すことにしました。
ザックに必要最低限のものを突っ込み、いざ出発です。
ちなみにここから山頂までのコースタイムは2時間10分、
テント場から山頂までがここまで離れてるなんか甲斐駒みたいだな…。
目指す山頂は写真真ん中の一番高いところ。
なんだかんだで冷池山荘まで約6時間かかっています。
ここからさらに2時間、しかも鹿島槍ヶ岳までのルートはなかなかの登りです。
見た目の勾配のきつさがなかなかなの見た目っぷりとメンタルやられてしまいなかなか足が前へと進みません。
ようやく手前の山を過ぎ前には鹿島槍ヶ岳の全貌が。
山頂まではここからまだ1時間の距離、あの道を進むのか…。
鹿島槍ヶ岳到着
途中で写真などを撮りながらもようやく「鹿島槍ヶ岳(2889m)」登頂しました。
山頂には何故か山頂碑が二つ置かれています。
どうやら剣岳方面、
そして大町方面それぞれをバックにして写真を撮れるようにこのような作りになっているようです。
しばらくの休憩ののち、写真を撮ることにしました。
当初山頂から剣岳方面の写真を撮ろうと考えていましたが、
山頂にはそれに引けを取らないような素晴らしい景色が広がっていました。
それは…
「八方キレット」です。
後立山連峰のここ鹿島槍ヶ岳と後五竜岳との間にある長い岩稜地帯が連続している地帯です。
日本三大キレットの中の一つであるここ八方キレットは日本を代表する難所の一つとなっています。
眼下に広がるはるか先へとつながる稜線を一目見るなり、
思わず三脚を取り出して撮影準備をしていました。
しかしながら午後となるとやはり雲が多く出てきてしまいなかなか思うように撮影することが出来ません。
全景を撮るのを諦め、70-200mm f2.8を使用し五竜岳のアップを狙ってみました。
雲の流れがとても早くND1000のみで十分動きを出すことが出来ました。
この奥に「白馬岳」が鎮座しているのですが…雲が切れる時間が少なく、
ちらちらっとしか顔を出してくれません。
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雲が切れるのを待つ間、近くのもっこりとした山を撮ってみました。
なんて名前の山なんだろう?とこの時は思ったのですが、実はこれが「鹿島槍ヶ岳の北峰」です。
お恥ずかしい話、私はこの時鹿島槍ヶ岳が双耳峰ということを知らず、
南峰を制覇してすっかり登頂した気になっていたのです。
自宅に帰ってこの事実に気づくというおばかっぷり…いつか改めて登りに行きたいと思います。
鹿島槍ヶ岳山頂から冷池山荘テント場へ
気が付いたら山頂には私一人だけとなっていました。
これ以上となると下山時は暗くなってしまうためこれにて撮影終了。
いつかはキレットに挑みたい…なんて考えながら冷池山荘へと来た道を戻ります。
冷池山荘テント場着
山頂から歩くこと約1時間15分で冷池山荘テント場へと戻ってきました。
ビールを買うべくザックをテントに置いて急いで山小屋へと向かいます。
冷池山荘の売店営業時間は朝の4時から夕方19時までとなっていたため、
夕方のこの時間は混んでいて冷えてビールもなくなってしまうんじゃないかと思ったのです。
そんな心配をよそに無事に冷えたビールをゲットできました。
ということでいただきまーす。
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夕日に照らされる剣岳という最高の景色をつまみに飲むビールは…最高です。
冷池山荘テント場は開けているため本当に眺望がよく、また稜線上ということもありとても涼しかったです。
というよりも夜は寒いくらいに冷えたため、久しぶりにモンベルダウンハガー#1のチャックを締めることになりました。
夏用シュラフの方はちょっと注意したほうがいいかもしれません。
ほろ酔い気分で上の大きなテント場へと行ってみました。
やはり予想した通りたくさんのテントで賑わっています。
約40張程度幕営可能なテント場ですがそれ以上の数がありそうでした。
これからの時期も混みそうですね。
太陽が沈むと暗闇の世界がやってきました。
暗くなるにつれ、それぞれのテントに明かりが灯り始めます。
私も自分のテントに潜り込み、デジタル版の山と渓谷などを読みながらのんびりと過ごします。
一日歩いた後のこの時間はとても幸せな時間、登山される方なら誰もがそう思うはず。
そして、頃合いを見計らって外を覗くと…見えてました。
そう、「夏の天の川」です。
実は前日に車中泊をしていた時、ふと外に出たらビックリするくらいの星が出ていたので、
これはもしかしたら天の川見れるんじゃないか…?と思っていたのですが正解でした。
ちょうど爺ヶ岳の上におおきな天の川の姿が浮かんでいました。
横着してシュラフに潜り込んだままの状態でテントの中から撮影したのですが、
意外とそれなりに撮ることが出来たのでよかった。
そういえば…と取り出したのは今年のCP+にて手に入れたクロスフィルター。
なかなか使用する機会がなかったので試しに使ってみたのがこちらです。
あれ?これって使徒倒したときに出るやつじゃね?
うーん、思ったよりも微妙…。
使い道がわからないのでどなたか教えてください。
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一時間ほど撮影をし、この日は活動限界を迎えました。
明日のエネルギーを充電すべく、シュラフに潜り込み目を閉じます。
【Day2】
冷池山荘付近
おはようございます。
時刻は4時、マジックアワーに包まれた鹿島槍ヶ岳を狙おうと三脚を立てて待ち構えていました。
なのに三脚の写真ということは…察してください。
思い通りにいかないときもありますよね。
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意気消沈しながらテント場に戻り撤収準備を済ませます。
冷池山荘のテント場はほんとによかったです。
またぜひお邪魔したいと思います。
冷池山荘から柏原登山口駐車場へ
ザックを背負い、お土産などを買おうと冷池山荘に立ち寄ります。
バッジや手拭いやもちろん、なんと懐かしのペナントまで売っていました。
といっても私はペナント世代よりもあとの人間なのですが珍しさから思わず購入してしまいました。
ちなみに1枚150円、お土産にいいかも。
山荘外には温度計が設置されていました。
8月だというのに気温は15℃、通りで涼しいわけですね。
涼しいうちに距離を稼ぐべく先へと進みます。
さよなら冷池山荘。
その後は再び爺が岳を登っては下り…
再び登っては下りを繰り返し、
最後に立山連峰の山々を見ながら種池山荘を経由して無事に柏原登山口駐車場へと戻り、
今回の登山を終えました。
柏原新道は北アルプスデビューにおススメ
ということで今回は北アルプス「鹿島槍ヶ岳」に登ってきました。
とにかく柏原新道の歩きやすさばかりが印象に残っています。
初めての北アルプスデビューをもくろんでいる方にはぜひおススメしたいです。
ただしその場合は種池山荘に泊まり、爺ヶ岳登山までにとどめておいたほうがよいかなと思います。
柏原新道登山口から鹿島槍ヶ岳は危険大変ではありませんが、距離が長くまた爺ヶ岳のアップダウンもあるため初めての方にはちょっと厳しいかなと感じました。
もしくは2泊3日で一日目は種池山荘、二日目は鹿島槍ヶ岳ののち冷池山荘、三日目は下山とプランに余裕を持たせるとよいかもしれませんね。
また、種池山荘にもテント場があるため初めてのテント泊の方にもおススメです。
鹿島槍ヶ岳から見る立山連峰の山々、そして八方キレットの峰々はまさに絶景。
最後の登りがしんどいですが登る価値は大いにあります。
あまり有名ではない鹿島槍ヶ岳ですが私的にはぜひともおススメしたい山の一つです。
結局、今回も忙しい登山となってしまいましたので次回こそゆるふわでのんびりな登山へと出かけたいと思います。
写真もたくさん撮りたいぞ!