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【登山ギア】「Fire-maple XK6」ヒートエクスチェンジャー機構が本当に効果あるのか試してみました

以前ご提供いただいたヒートエクスチェンジャー付きクッカー「Fire-maple XK6」。
実はこれお湯が沸くまでの時間を短縮できる機構が備わっているとのことなのですが、
果たして本当に効果あるのか気になったので試してみました。





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Fire-maple XK6を大体3年くらい使っています

久々の登山ネタです。
以前私が仲間に入れていただいている「神田南口登山部」にスポンサードいただいている、
株式会社帝伸テックさまよりいくつかの登山用品をご提供いただきました。
以来、いくつかの製品を登山などで使わせていただいているのですが、
その中でも特に気に入って使っているのが「Fire-maple XK6」という製品です。





これいわゆるクッカーなのですが、
下部にヒートエクスチェンジャーという機構を備えています。
お話聞くとこの部分のお陰で他のクッカーに比べて
素早くお湯を沸かすことが可能なんだそうです。
頂いた当時はへーそうなんだーくらいにしか聞かず、
むしろサイズなどのそれ以外の部分が気に入ってしまい、
それ以来山行時に愛用させていただいております。





で、そんなXK6が微妙にモデルチェンジしたとのことで、
再び商品をお送りいただきました。
変更点はロゴと持ち手の色と収納袋の色なのだそう。
微妙…ですがありがとうございます。


そんなこの折に改めてヒートエクスチェンジャーが少々気になってきました。
何気なく使ってるけどこれ本当に効果あるの?
もしかしたら恩恵受けていたのに気が付いてなかったのかもしれない…。


とまぁこんな具合で気になってしまったので、
今回その効果について確認すべく試してきました。
果たしてその結果は…?



今回も動画あります

www.youtube.com

www.youtube.com


相変わらず毎度毎度宣伝で大変恐縮なのですが、
今回に限っては動画の方がわかりやすいかもしれません。
別に誘導ではありませんがもしよかったらこっちも見てね。
そして今回の記事の画像の殆どはこの動画からの切り出しです。







製品について


先にFire-Maple XK6について簡単にご紹介します。
この製品は上に書いた通りでアウトドア用のクッカーになります。




外観について。
外観はこのようにシンプルな見た目です。
今回お送りいただいた製品ではロゴの部分が「FIREMAPLE」に変更されました。
また取っ手部分についてもグレーに色が変わったそうです。



寸法については、
(D)11.5 x (W)11.5 x (H)13.3 cm、
重量が220gで内容量は1.0Lとなってます。
サイズ見ると正直ソロだと少し大きすぎるかな思います。
重さはともかくサイズだけ見るとULな方々は少々気になるものがあるかもしれません。





そのサイズ故に大きなOD缶が入ります。
さらにそれを入れても深さに余裕があるため、
バーナーや折りたたみ式のカトラリーなど入れることが可能。
TPEの蓋も付属するので物を収納した状態で蓋することができます。
これならザックに入れた時にも中身こぼれないので便利ですね。
とはいえやはり小さいOD缶がちょうど入るサイズがあるとよりいい気がしますね。
ちなみにこの蓋も耐熱温度120℃とのことなので調理に使えるそうです。





で、肝心のヒートエクスチェンジャーについて。
ヒートエクスチェンジャーはこのクッカーの下部にあるこの波状の部分を指します。
この蛇腹形状のフィン(というらしい)にバーナーの炎が当たることにより
バーナーの炎を逃がさずに吸収することが可能になっています。
具体的には一般的なクッカーに比べ約8割以上の熱効率を発揮するのだそうです。



バーナーの炎を効率的に吸収できるということはすなわち、


・お湯を素早く沸かすことが出来る
・少エネルギーで使うことが出来る

こんな感じで登山時にはなかなか頼りになりそうな効果を発揮してくれる様子。




絶対に気を付けなければならない注意点


一見するといいことばかりのヒートエクスチェンジャーなのですが、
一点絶対に気を付けなければならない注意点があります。
それが一酸化炭素を多く排出するという」点です。


便利なこのヒートエクスチェンジャーですが、
構造的に搭載していない製品と比較するとかなりの量の一酸化炭素が排出されてしまいます。
そのため使用時にはある程度注意する必要があります。


具体的には密室・屋内、車内など換気しづらい場所での使用はNG、
一酸化炭素中毒になる危険性があります。
つまり登山でいうとテント内での使用はダメということになります。
これが唯一ネックになるポイント。
私は以前より調理は外、または前面のフライシートを開けて行っていました。
この状態であれば換気も出来るので問題なしと判断したためです。


しかしながら登山となると天候によってはこういった調理ができない場合が発生するわけで、
厳冬期のテント泊で天候崩れた際や雪洞泊の場合など、
狭い空間で換気出来ないようだと使うことが出来ません。
これはかなりのデメリットですね。

この部分はとても大事なことなので皆さん必ず覚えておいてください。
なお他社のヒートエクスチェンジャー付き製品も同様です。




ヒートエクスチェンジャーの効果を確認するぞ

今回の検証について

ということでここからは実際にヒートエクスチェンジャーについて試していきたいと思います。
先に今回の検証について簡単にご説明しておきます。





今回の検証に使用するものはこちら。
右手が今回ご紹介した「Fire-maple XK6」
左手がヒートエクスチェンジャーのないクッカー、比較対象です。
今回は一番売れてるかもしれない「Snow peak Treck 900 (SCS-008)」を使用しました。
登山始めた時に買ったやつです。





ガスとバーナーについてはこちら。
まずガスはFire-mapleさんのOD缶を使用しました。
理由はちょうど二つあったからです。
どちらも新品なのでガスの差はないかなと思います。





バーナーについては両方とも「SOTO ウインドマスター SOD-310」を使用しました。
丁度家に2つあったのでこりゃ丁度よいとなった次第です。
ただし五徳については1つが付属の3本五徳、
もう1つがオプションの4本五徳となっています。
五徳の違いによる差はあまりないかと思うのですが一応承知おきください。
また2つのウインドマスターのうち1つはイグナイターが使えなくなっています。
着火については両者共に今回ライターを使用しました。


なおSOTOの製品はヒートエクスチェンジャー付き製品と組み合わせての使用を禁止しています。
今回は自己責任似て使用・検証しました。
www.shinfuji.co.jp




検証方法

以下、検証方法です。

・ヒートエクスチェンジャー有無クッカーをそれぞれ使用
・水500㎖を両者に注水し同時に火を入れ沸騰するまでの時間を計測する
・ガスの量は最大とする
・着火はライターを使用

水温は測りませんでしたが外気温は14度、
風は時折吹く程度って感じです。






検証開始

ということで検証開始です。
今回の内容を文章で伝えるのはなかなか難しいのですが…
ひとまず動画でも使用した右上のストップウォッチの値もそのまま残してスクショした画像でお送りいたします。


スタート時ですが今回はトレック→XK6の順にて火を付けました。
ただしXK6の方に火をつける際にちょっと出遅れてしまい若干時間差が発生しています。
XK6が不利な状態となってしまいましたが果たして追い抜くことはできるのでしょうか?





40秒台でのお水の様子。
先行したトレックは既にポコポコとしてきています。
対するXK6はまだまだ水っぽい感じ。
思った以上に差が開いてしまっているようです。





1分経過しXK6に変化がありました。
なにやら若干湯気っぽいのが上がり始めています。





それから約15秒後、
なにやら細かい泡がポコポコしはじめました。





対するトレックの方はというと先ほど見た時とあまり変わらない様子。
気持ち泡が増えてきたような…?





2分前になると両者から湯気が出てきました。
ただしXK6の方が湯気の量が多いです。





試合が動いたのが2分すぎてからでした。
2分5秒あたりからXK6の方が急激にポコポコと動き始めました。
そして湯気の量も大量、これはもしや沸騰では?




対するトレックの方は湯気こそ出てはいるけど中の様子は変わらず。
あと少しで沸騰しそうだけどなかなかそこまでいかないという感じです。





トレックの様子を見た後再びXK6に戻ると…沸いています!
ボコッボコッと完全に湧き上がっていました。
慌ててガスを閉じます。






ということで、ストップウォッチの時間を確認。
丁度止めた時の時間は「2:15:23」でした。
ただし止めるまでの時間やガスを閉じたり割と慌ててしまったので、
実際にはもう5秒くらい早い可能性があります。
おおよそ2分くらいといってもいい気もしなくもありません。





その後、トレックの方はなかなか沸きそうで沸かないという状況が続きました。
観察していましたが本当にあとちょいなのに…という感じです。
湯気など出ていたのでもうお湯といえばお湯かなとは思うのですが、
なかなかボコボコと沸くところまでいかない。


もしかしたらここまでなのか?と思いつつもしばらく眺めていた所、
遅れること約1分ちょいでようやく沸騰しました。




結果発表


ということで結果発表。
結果はこんな感じとなりました。


【Snow Peak トレック900】03:25.42
【Fire-maple XK6】     02:15.23

ということで約1分ほどの差が発生しました。
なおこの時間についてはガスを止める方を優先したこともあり、
多少ですが時間が伸びてしまっているかと思います。
実際には数秒程度早いのご注意ください。


しかし…思ったよりも時間に差が開いたなぁというのが正直な感想です。
正直差が出ても数秒程度くらいにしか思ってなかったのですが、
まさか分単位で差が開くとは…驚きました。



ヒートエクスチェンジャーは確かに効果あるけど注意も必要


ということでFire-maple XK6のヒートエクスチェンジャーについて実際にその効果を試してみました。
思った以上に効果あり驚きです。
これならあえてヒートエクスチェンジャー付きを選ぶ価値もあるように思います。


今回は500㎖を沸かしただけですが、
より大容量の水を一度に沸かしたいときなどにはかなり効果が見込める気がします。
同じくヒートエクスチェンジャーが搭載された鍋なども販売されているそうなので、
複数人パーティーでの登山が多い方はこういった物を導入されてみてもよいかもしれません。


また長期間歩き続けるようないわゆるロングトレイルの際などにも効果大かなと思います。
早く湯が沸く=省エネルギーとなるわけで、
これにより携行するガスの量も変わってくるかなと思います。
少しの節約も蓄積してけば大きな結果になるわけで…
これにより装備の削減なども見込める可能性もあるかもしれません。
そうなるとより小型サイズがあるとまた人気出る気がします。


ということで、以前より気になっていたヒートエクスチェンジャー機構は確かに効果ありでした。
今後も使用上の注意を守ったうえで山に連れ出したいと思います。



※ヒートエクスチェンジャーは一酸化炭素を多く発生します。
 屋内・テント内・雪洞内・車内・室内等換気が出来ない場所、
 風通しの悪い場所では絶対に使用しないでください。
 一酸化炭素中毒により最悪の場合死亡する危険性もあります。
 併せて使用は自己責任にてお願いいたします。
 当方は一切の責任を負いません。