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【撮影機材】小さなシフトレンズ「Nikon PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」を購入しました

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梅雨の影響で登山はおろか思うように写真を撮りに行くことすらできない日々が続いています。
そんな毎日のストレスからかまたレンズを購入してしまいました。
今回購入したのはちょっとマニアックな「PC Nikkor」というレンズ。
ミラーレス全盛期の今、あえて1980年11月発売のレンズをご紹介しちゃいます。




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「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」を買いました

パッとしないお天気とは裏腹にミラーレス界隈が盛り上がっていますね。
以前からEマウントは大盛り上がりでしたが、それに続けと盛り上がり始めているのがLマウント。
先日のSIGMAの発表にはFマウントユーザーの私もなぜか興奮してしまいました。
そりゃいきなり近所でお祭りが始まったら気になって顔出しちゃうってもんですよ。
そういえば最近音沙汰ないけどNIKONさんは元気にしているのだろうか…
未だフルサイズ一眼レフ使いの私はもう少し様子見てこの先どうするか決めたいと思います。



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そんな先日、新しくレンズを購入しました。
今回購入したのはNIKON純正レンズの「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」です。
一見するとただのオールドなレンズですがこのレンズはちょっと違うんですよ。
ではそのあたりをご説明していきますね。


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PCレンズってなんぞや?

PCレンズってご存じですか?
PCとは「Perspective Control」の略。
これで何ができるかというと、文字通りパースペクティブをコントロールすることが出来るんです。
あまりにも端折りすぎちゃったのでもう少し詳しく書きますね。


PCレンズの効果について

例えば広角レンズを使用して街中でビルを見上げて撮ったときに肉眼ではまっすぐ立っていたのにいざ撮影した写真を見ると上が窄まって映ってたなんてことありませんか?
広角レンズは近くのものが大きく、遠くのものが小さく映ります。
つまり手前側にあるビルは大きく映るけどビルの高層階方向は距離が遠くなるため小さく映る…
つまり上に行くほど小さくまるでスイカバーのような遠近感のある写真となるわけなのです。
この遠近感のことをパースペクティブといいます。
皆さんパースと呼ばれてるアレのことです。


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上の写真は東京タワーを「TAMRON SP 15-30mm F/2.8 Di VC USD (A012)」の広角端15ミリで撮影した写真です。
肉眼で見た時はもっと恰幅のあった東京タワーですが、いざ写真を撮ってみるとなんだかがりがり。
これは上方向にいくにつれパースペクティブの効果ですぼまってしまったからなんです。
といってもそもそも東京タワー自体が上に行くほど細いのであまり効果は体感しずらいかもしれませんが…。


ここでは極端な例として上方向に見上げるというお話をしましたが、
見上げていない場合でも同じようなことが起こっています
垂直に立っている建物などを撮影した場合にも、
パースペクティブの効果で写真ではまっすぐに見えないということが実は起こっているんです。


で、話戻ってこのレンズはPCことパースペクティブコントロールレンズ。
つまりこの遠近感をコントロールすることが出来てしまうというなんとも不思議なレンズです。
そんな便利なことが出来るのならなぜ普通のレンズではできないのか?
答えはとても簡単です。



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こんな動き、ほかのレンズじゃできないですよね。
PCレンズはこのようにレンズの一部が稼働するような機構を持っているのが特徴です。
この機構でなぜ上すぼまりを修正することが出来るのかを説明するのは非常に難しいのですが、
超簡単に説明すると光軸と撮像面をずらすことによりカメラ位置を変えることなくセンサーに映る絵をずらすことが出来るからなのです。


ちなみに今回のレンズは上下方向のいわゆるシフト操作しかできませんが、
現行のPC、PC-Eレンズは左右方向に振る「ティルト」操作も可能となっています。
ティルトは被写界深度を調整することが出来るのですが…こちらは皆様でお調べください。
一時期大流行したミニチュア風撮影はこのティルト操作にて撮影することが可能です。


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PCレンズを購入した理由

実は以前よりPCレンズを使ってあるものを撮ってみたいと思っていました。
それは「山」



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登山しているときに山を撮る場合、山を見上げて撮影することが多いのですが、
普通に撮影すると上すぼまりの遠近感が働き、折角の山の険しいな雰囲気も薄れてしまうことが多々ありました。
これではせっかく苦労して登っても高さが表現できないし、登山のしんどさも伝えることが出来ない、
なにより本当はかっこいい山もカッコよく表現してあげられない…
とまぁこんな風に以前から思っていたわけなのです。




そんな時に目にしたのがデジカメWatchさんのこの記事でした。

dc.watch.impress.co.jp



当時の私はシフトなどという操作方法を知らず、
この記事を見た時にこれだ!と思ったというわけなのです。
ちなみに文中にもありますがニコン開発陣の方々に、
このレンズのおススメの使用方法はとの問いに対し「山岳写真」と答えられていました。
「シフト機構を利用して見た目により近い自然な形で山岳を表現できます」とのお話を見て、
Nikonの方も進めちゃうくらいだから一度は使ってみたいと思うようになりました。


しかしながらこのレンズがまぁ高いこと高いこと。
一般ユーザー向けに作られたレンズではないこともありお値段もなかなか手を出せるような金額ではありません。
一度は使ってみたいと思いながらなんやかんやで二年も経過していた、というわけなのです。


そんな最近再びシフトレンズ熱が熱くなってきて調べ始めた時にに見つけたのがこの「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」だったのです。
古いとはいえ私が試したいシフト操作が可能だったこと、また意外にも画質が良いとの声が多く、
デジタルの高画素機でも十分使えるとのことだったので思わず購入してしまいました。
あと現行のPCレンズよりも約500gも軽いというのもいいなと思った点ですね。
まずはこのレンズでシフト操作を体験してみてハマったらその時は覚悟決めよう、とまぁこんな感じで購入したというわけです。





「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」を知ってるかい?

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ようやく本題、「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」を見ていきましょう。
このレンズ発売は1980年11月、なんと私よりも先輩です。
すでに生産終了となっているため中古でしか手に入れることが出来ません。
さすがのAmazonでも取り扱ってないだろう…と思いきやありました、驚きです。



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ちなみに私は散々探し回った結果、メルカリにて購入しました。
付属品などは一切なく、レンズのみが送られてきました。
ちりやカビの混入や霞、傷などもなくかなりきれいです。
ヘリコイドと呼ばれるシフト操作部分の動きもぬめぬめとなめらかです。



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取り付けは今まで同様にマウントします。
2017年製のボディに1980年製のレンズがそのまま着いちゃうって興奮しますよね。

ちなみに私よりも先輩です。うっす。


なおご注意いただきたいのはこのPC NikkorをD850に取り付ける際、
取り付け不可能なシリアル番号があるという点です。
D850の取り扱い説明書の中に「取り付けできないレンズ」という項目があるのですが、
そこにはこの「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」の名前も入っています。
ただしすべての同レンズが取り付けNGということではなく、
シリアル番号「No.851001〜906200」がNG指定となっています。
逆に言うとそれ以外のシリアル番号であれば取り付けが可能です。
購入の際にはご注意ください。


また今回の導入に関し、以前より拝見させていただいていたこちらのブログのこの記事を参考にさせていただきました。

infotogramation.info



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ちなみにシリアル番号はレンズを正面から見ればわかります。
私のレンズでいうと183334ですね。
購入の際はこちらの数字を要チェックです。



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カメラに取り付けた状態。
小さくてとても軽いのですごく気軽に撮影に出かけられるようなそんな気がします。
またF値も2.8と明るいレンズなのでシフト撮影目的でなくとも十分に楽しめるレンズです。


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PCレンズの操作方法

このPCレンズは一般的なレンズとは違いその操作方法も独特です。
私も勉強不足ですがその機構について紹介していきたいと思います。


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さっそく操作部を見ていきましょう。
可動部は計五か所あります。

①最大絞り量設定部
②絞り環
③ピントリング
④ヘリコイド
⑤シフト方向調節部

ちなみにこの名前は私が勝手に決めました
そのためこのブログ以外では通じないと思います。
本当はちゃんとした名前があるのかもしれませんが調べても出てこなかったので名付けちゃいました。
お名前ご存じの方がいらっしゃいましたらご教授ください。
ではそれぞれの可動部を見ていきましょう。


①最大絞り量設定部

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いきなりよくわからないものが登場しちゃいましたね。
このリングは文字通り、絞り環がどこまで操作できるかを決めるリングです。
このレンズが作られた当時には電磁絞りなどという機能はありませんでした。
となるとD850に取り付けるともちろん電磁絞りは使うことが出来ません。



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そのためこのレンズをNIKONデジタル一眼レフに取り付けると「F0」表示となり、
今までのようにカメラ側のダイヤルを動かしても絞り操作を行うことが出来ないのです。



では絞り操作はどうするのかというと②の絞り感にて調節を行います。
とはいえこの絞り環での最大F値はF32まであるのですが正直F32なんて使わないですよね。
また各々絞りの限界値やよく使用する値などもあることかと思います。
そんな時に使用するのがこの①のリングなのです。

①のリングをカメラ方向に引っ張りながら左右に回し白い〇印を自分の好きな絞り位置まで移動させます。
そして②を最大まで絞ると…そう、この時移動するのは上で設定した位置までとなるんです。
つまりそれが使用可能な絞り最大値となりそれ以上に絞ることが出来なくなるのです。
絞り上限値を設定するメカ的機構といった感じです。


②絞り環

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上を書いているときに登場してしまいましたが「絞り環」は絞り量を調節するために使用します。
ここで合わせた数値=絞り値となります。
なお、数値と数値の間当でも利用可能です。
より細かな絞り調整を行うことも可能となっています。


③ピントリング

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「ピントリング」は文字通りピントを合わせるためのリングです。
これは現行のレンズにもありますよね。
効果も同じなのでこれは省きますね。


④ヘリコイド

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このレンズ一番の特徴となるのがこの棒の部分。
この棒ことを「ヘリコイド」といいます。
ヘリコイドを回すとヘリコイドのある部分と反対方向へとレンズを動かすことが出来、
これによりシフト操作を行います。
よく見るとメモリも振ってあるので移動量も確認が可能です。
ちなみに上方向にシフトさせることを「ライズ」、下方向にシフトさせることを「フォール」と呼ぶそうです。
大判カメラ時代からの名残だそうですよ。


⑤シフト方向設定部

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④に書いた通り、ヘリコイドの動きというのは一方向のみとなっています。
そのため方向を調整するための個所としてこちらが用意されています。
この部分は360度回転するようになっており、これによりどの方向にシフト調節を行うかを決めることが可能です。
なおこの部分には0から11までの数字が目印として振られています。
ただこの数字の振りかたが奇妙で8のあとが11でその次は8となったり同じ数が何回か出てきたりします。
動きは理解できますがこの数字の意味が分からず、しかも法則性がわからずなんか怖いです。
ご存じの方教えてください。


どうです?変わったレンズですよね?
ではこのレンズが実際にどう映るのか外へ持ち出して試してみましょう。


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「PC-Nikkor 35mm F2.8(New)」で撮影した写真

ここからはこのレンズを使って撮影した写真をご紹介します。

シフト撮影してみました

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まずはシフトことなく普通に撮影してみました。
写りもそんなに悪くないですよね。



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そしてシフトを使用して撮影したのがこちらです。
一見同じように見えますがシフトなしだと鳥居の足がやや広がっているように見えたり、
手水舎もなんだか斜めに見えますね。
対するシフトありのほうは鳥居もまっすぐきれいに伸びています。


このようにPCレンズのシフト操作はパースペクティブをコントロールし、
被写体が本来存在しているそのままの姿を表現することが出来るというわけなのです。




普通のMFレンズとしても十分に撮影できる

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とはいえシフト操作を行わなければただのMF単焦点レンズ
凝った撮影でなくとも十分に撮影にしようすることが可能です。



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開放で撮影してみました。
ほとんど絞って撮る私はあまりボケには詳しくないのですが、
なんとなくスライムやぷよぷよみたいなややつぶれた丸になってますね。



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絞りの調整は絞りは絞り環での調整となります。
また直接絞り羽を動かすため絞るとファインダーもリアルタイムに暗くなってしまいます。
つまり絞ったままでピントを調整しようとすると暗い状態での操作となるためまぁ大変です。
そのため、絞り開放→ピント合わせる→絞りを好みの位置まで絞る→撮影というちょっと手間のかかる撮影となります。
ただこの手間のかかる撮影プロセスというのがまぁ新鮮でとても面白いこと面白いこと。
多少不便感じるほうがやりがいがあるというものです。



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写りに関しては古いからそれなりなんてこともなく非常に良好に感じます。
NIKON D850は4570万画素の超高精細機ですが、それに負けぬような写りをしてくれています。
今回のようなスナップ撮影などであれば十分活躍できるんじゃないでしょうか。
ただしシフト具合によっては画面四隅の描写が超甘くなります。
機構的にもこれは仕方ないみたい。



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面白いのが光芒。
これがまぁすごくうにうにしてるんです。
なおコーティングはされていないため逆光には強くありません。
ゴーストやフレアも盛大に登場しますので撮影時は注意が必要です。




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とまぁ何かと不便だったり面倒感じたりもするかもしれないこのレンズですが、
それでもやはりまっすぐに立っているものをそのまま映せるというのは非常に気持ちがいいものです。
やはり都市部の建築物や室内での撮影などにはその特徴が活かせるのかなと思います。
オラの街には超高層ビルがねぇ。




登山でも使ってみました

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登山でも使用してみました。
こちらは富士山最高地点「剣が峰」の手前から剣が峰方向をシフト撮影した写真です。
シフトの効果があるように見えますが比較写真を撮り忘れたので検証の使用がありませんすいません。
効果のほどはあまりはっきりとはわかりませんがすぼんでるような印象は受けません。
軽量なレンズなので今後の登山にも持っていって試したいと思います。
ただし可動部が多いレンズなのでチリなどには弱そうですね…。
きちんとお手入れしないと大変かも。


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軽量安価で写りも良好、シフトレンズ入門には最適なレンズ

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念願のシフトレンズを手に入れた私的には大満足のレンズです。
一番うれしいのは比較的安価にシフト操作可能なレンズを手に入れれたこと。
また写りも条件次第ですが大変良好、そして軽量かつコンパクトということありません。
当初はこのレンズでシフト操作を体験してみて面白かったら中古のPC24ミリあたり買っちゃおうか…?
なんて思ってましたが思いのほか活躍してくれそうだったのでこのレンズで行くことにしました。


使ってみて思いましたがこの操作というのがまぁ楽しいです。
ピント合わせて絞りを調節してシフト量を調節して撮影…ってなかなか大変ですが、
それでうまく撮れた時は普段のレンズでは味わえない喜びを感じることができます。
どうも私はこういう手間のかかることに喜びを感じるタイプのようです。
やばい、新たな沼が見えそう…。
Dfって確か非Aiレンズ使えるんだよな。


とはいえピント調節などでかなり不便感じることもありました。
D850はライブビューでのフォーカスピーキングが可能なためこちらをちょくちょく使いましたが、
EVF機ならファインダーを除きながら確認することが出来るため便利かと思います。
NIKON Zを使用中の方はFtoZやマウントアダプタを使用すればこちらのレンズも利用可能なので、
よかったら挑戦されてみてください。
なかなか球数も少なくなっているようなので気になる方はお急ぎを。